株で全てを失った専業主婦・宇津井さん

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家族構成

・父(無職・早期志願退職)

・母(無職・株/闇金顧客)

・息子(フリーター・ギャンブラー/多重債務者)

親が健在で持ち家があるということは、少なくとも「衣食住の困窮」に直結する状態にはないのかもしれません。親がいる、寝るところがある、食べ物がある。頼れる親と住む家があることはとても幸せなことです。自分の経済状態が思わしくなくても、親は大丈夫。親がいるから本当に大変になったら助けてもらえると思っている人も多いのでは?しかし、忘れてはならないのが親もこの不況の中、頑張って生きている人間だということです。

「いつまでもあると思うな親と金」とはよくいいますが、親も人の子。お金に困ることもあれば、闇金に手を出すこともあるのです。

親子で借金地獄に陥った宇津井家

息子はフリーターで多重債務者、キャッシングで作ったお金をギャンブルにつぎ込み、借金の総額は215万円。毎月の返済額は利子だけでも5万円。親の老後の計画に自分の生活費は組み込まれていないことを知りつつも、最悪、親の年金と相続できるであろう家さえあれば生きていけると信じているパラサイトシングルです。

宇津井家の没落は母親が株に手を出したことから始まりました。

相談もなしに早期退職者に志願し無職となった夫。いつまでも定職につかずギャンブルに明け暮れる息子。家のローンも残っている状態で先の生活に不安しかなかった母は住宅ローンを組んだ銀行の担当者に「内緒で」紹介された証券会社のすすめで株の信用取引を始めたのです。

最初は順調だった株価、しかし、急に株価が暴落、信用取引に必要な担保額の比率を保つためには追加保証金(120万円)を入れないと信用取引ができなくなるとの連絡が。追加保証金を入金しないと未決済の契約総数が強制的に決済され、株価の暴落による損金、400万円を失うことになってしまいます。

老後の蓄えである400万円を絶対に失うことのできない宇津井さんは、貯金を絞り出し、消費者金融を回り、それでも足りない20万円をカウカウファイナンス(ウシジマくんに登場する闇金業者)で借りることにしました。

カウカウファイナンスの金利は10日で5割(トゴ)。1ヶ月分の金利を前払いする条件で50万円の借用書にサインし、20万円の融資を受けることに。この時点で宇津井さんの借金は消費者金融3社から60万円、そしてカウファイナンスから50万円の計110万円になっていました。

闇金に借金をしてまで追加保証金を入れた宇津井さんの元にはさらに追加保証金発生の連絡が…。130万円を入れないと合計で650万円ものお金を失うことに。取引を続けるかやめるか悩む宇津井さん。しかし、今やめると借金が残るだけになってしまいます。そんなタイミングでカウカウファイナンスの社長から様子伺いの連絡が。さらなる追証の発生を伝え取引の中止を告げると、親の株券を担保にさらなる融資とそのお金をさらに大きくする「株のいい話」を持ちかけられました。

老後の生活を守りたい宇津井さんはその話に乗ることにしたのです。

後戻りできない母は泥沼にハマっていく…

カウカウファイナンスの「いい話」はもちろんカウカウファイナンスにとっての「いい話」。親の株券を担保に借りた400万円の内、200万円を担保に別の闇金で800万円の融資を受け、1000万円分の新しい株取引を始めることにしたのです。もちろんこの闇金も証券会社もカウカウファイナンスの息のかかったところ。購入予定の株は暴落が予測されている上に、実際には購入しない架空の株。つまり、宇津井さんは闇金業者に詐欺られたのです。そして予定通り、株価は大暴落。宇津井さんの元には追証2000万円の連絡が…。

この時点で宇津井さんの借金は新たに融資を受けた先に1200万円。そして株の大暴落で発生した2000万円の追証(※実際は購入していない架空の株)、さらに支払えなくなった住宅ローンの残金2000万円という途方もない金額に膨れ上がっていました。

闇金で借りた1200万円の借金を夫の退職金で払い、実家を売り、兄弟に借りたお金で住宅ローンの一括返済をしようとした宇津井さんでしたが、カウカウファイナンスに預金を差し押さえられ預金額はゼロに(※別名義で差し押さえ)。結局、守ろうとした家を売り払い団地に引っ越すことになってしまったのです。

すべてを失った宇津井さん。自己破産の手続きや公団の手続き、生活保護申請の手配を手助けしてくれたのはカウカウファイナンスの社長でした。それは、宇津井さんにはまだカウカウファイナンスへの借金50万円が残っていたから。親切心ではなく借金回収のための手助けだったのです。

一方、息子は?

公団住宅に移り、親からは生活費の催促。もちろん多重債務者でフリーターの息子には払えるはずもなく家を飛び出しました。住むところも食べるものにも困るようになった彼は結局、自己破産をすることに…。 

しかし、母親が倒れて闇金に取り立てを受けていると知り奮起。自分がカウカウファイナンスへ返済することを約束し、介護ヘルパーとして真面目に働き始めたのです。

宇津井家のその後

奇しくも、すべてを失ったことで家庭のあるべき姿を取り戻し始めた宇津井家。宇津井さんはカウカウファイナンスへ感謝の念すら抱いています。宇津井家をどん底に突き落とした元凶であるにも関わらず…。

宇津井さんの失敗はどこにあったのでしょうか?株に手を出したこと?追証が発生した時に取引を中止しなかったこと?闇金に手を出したこと?無職の息子を野放しにしたこと?夫婦のコミュニケーションが不足していたこと?

将来が不安なら株に手を出すこともあるでしょう。400万円損をすることがわかったら回避したいと思うのが人間でしょう。回避するために手段を選ばないのであれば闇金に手を出すこともあるでしょう。やる気のない息子を持つ親御さん、コミュニケーションの不足している夫婦は大勢いることでしょう。

宇津井さんのように一気にすべてを失うケースは稀かもしれません。しかし、宇津井家は日本のどこにでもあるような普通の家庭です。つまり、すべてを失う可能性はどの家庭にもあるということ。普通の家庭が一瞬の内に崩壊する。それが借金というものです。
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金沢優

金沢優

「もしも」の時に役立つ情報を発信中!自分の身を守るためにも必要な情報をきちんと仕入れましょう。「知らない」は「損」に繋がります。
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